モズク・真の左党のさかな

レビ放送の影響で「モズク」が大人気です。今では健康食品の代表の感がある「モズク」です。 
古代、養老令や延喜式では貢納品として広く用いられた海藻類の中で「水雲(モズク)」は乾燥しにくい
との理由で貢納品とされていません。しかし、海藻売りのはなやかな江戸期には・・


   
・塩しみて心もかろしもづくうり


と歌われたように、塩蔵のモズクを樽に入れて売り歩き人気がありました。


   
・鶯の声にたなびく海雲かな   萢子


 モズクはうぐいすの鳴く初春にとるものです。ホンダワラの一種、モクの先について成長するので
「藻付く」と名づけられました。俗に、モウゾク(京都)、モゾク(岡山)、モゾコ、などとも呼ばれます。
モクズのなまったものというひどい解釈もありますが、とんでもない話で、藻の屑どころか藻類中の
珍味なのです。 

 数ある海藻中でも最も粘滑質で、糸のようなそれを手ですくい上げようとすると、どじょうのように
指の間から逃げてしまいます。 海中のモズクのゆらめきは幻想をさそいます。人魚の髪のようでも
あり、雲のようでもあり、しなやかで、それは美しい音色でもきこえてきそうな舞い姿です。

 あて字の水雲は、モズクのそんな状態をあらわしているのです。

 一般に「モズク」というのは、モズク類(褐藻類モズク科とナガマツモ科)の総称です。モズク科には、
モズク(絹モズク)、イシゲ、イロロなどがあります。 

 一般には、ナガマツモ科のフトモズク(岩モズク)、イシモズク、クロモも「モズクのなかま」として、
食用にされています。

 これらのモズク類は、だいたい春または冬から夏に繁茂します。ねばりがよくでて、もっとも風味が
いいのは梅雨どきです。


    
・塩梅は海の曇りや海雲汁


 煮えたった汁の上に投げ入れ、さっと美しく緑色に変わったところで火をとめたモズク汁は格別な
味です。これの三杯酢は、上戸が塩辛についで珍重するもので、料亭では高級品としています。 

 産地は、太平洋、日本海から沖縄方面まで広く、中国では髪茶と称し、主に乾製品を食べますが、
わが国では生が主流です。 

 最近は、モズクも酒のさかなのほかに、手近な美容食としても重宝がられています。夏の食欲を
増進させるのには最適です。また、健全に「細く長く」生きるための常備食としてもうってつけなのです。 

 また、テレビで特集され話題になった、フコイダンをいちばん含む海藻として人気が集中しています。